目にするのが911や718、あるいはパナメーラ、マカン、カイエンであっても。たとえその場所が山頂や曲がりくねった峠道、喧騒に満ちた大都市の一角でも。識別眼に優れた人は、GTSモデルのデザインを容易に見極めることができます。GTSの魅力はGTSにふさわしい手段でこそ引き上げられます。細部までこだわる人々にとって、それを可能にするデザインエレメントは、この車が特別であることを示すエンブレムと同じく不可欠な要素なのです。
パワー、スピード、および信頼性は、常に優れたスポーツカーを表わす特徴です。しかしスポーツレースの性質上、ライバル達としのぎを削り、チェッカーフラッグをトップで受けるという欲求によって、ドライバーの快適性や車のスタイリングは往々にしてなおざりにされました。
60年代、世界の過酷な公道を舞台にした長距離レースが人気を博します。私達はポルシェ カレラGTS(またはポルシェ 904)を送り出すことで、ブランドの指針を示しました。路面を確実にとらえ、0-60mph加速は6秒未満をマーク。レーシングカーの外観を備えながらも、高い快適性を持つスポーツカー。技術面での手法を少なく抑えながら、デザイン面における革新を多く生み出しました。
GTSはすぐに快適性を持つ情熱的なスポーツカーの象徴となりました。そして後に、高度な快適性とデザイン、ダイナミックな走りの融合の証としてその称号を刻みます。つまり、GTSモデルの中心にあるのは常にドライバーです。車内だけでなく、外観においてもドライバーが求めるものを提供します。スポーツサスペンションはより低く構えるスタンスをもたらし、ヘルメットの先端の高さまで追求するレーシングカーのDNAを体現。さらにターボモデルから採用されたフロントエプロンのほか、シートステッチやブレーキキャリパーなどのディテールに至るまで徹底的に考え抜いて造り上げられています。
GTSの個性を最も明快に表わすのが、鮮やかなカーマインレッドです。GTSの存在感を瞬時に際立たせるため、ツッフェンハウゼンのデザインチームが入念に選び抜きました。GTS特有のカラーで、レブカウンター、スポーツシートのヘッドレストのステッチ(今ではアイコニックな“GTS”ロゴを刺繍)、あるいはブラックのスパイダーホイールの奥に備わるブレーキキャリパーに採用。好奇心にあふれ、走りへの情熱を燃やすファンの心をくすぐるアクセントです。