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Porsche - Mission E

Mission E

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未来的なデザインながら、ポルシェらしいプロポーションがはっきりと浮かび上がる

未来の幕開けだ。最高水準のパフォーマンスを秘めながら、一滴の燃料も使用せずに 500 km を一気に駆け抜けるポルシェの新提案。“ミッション E” と名づけられた最新のコンセプト・スタディにスポットを当てる。

未来からやってきたクルマ、ミッション E。それは底知れぬ可能性を感じさせ、心ときめかせる一台だ。 ポルシェはこの新たなコンセプト・スタディにより、純電気駆動システムを搭載する E スポーツのあり方、そしてポルシェの名にふさわしい次世代の方向性を暗示する。パフォーマンスと効率性、ドライビング・ダイナミクスと日常利便性を高次元でバランスさせた革命的なエンジニアリング。斬新でありながら普遍的な美しさを有するそのデザイン・ランゲージは、 来たるべき EV 時代の 911 を予感させる。ミッション E は、一時的なソーシャル・メッセージを伝えにきた使者ではない。その中には近未来像を示す多くのヒントが隠されているのである。

ミッション:パフォーマンス
「高効率かつハイパフォーマンスのパワートレインは、ポルシェが誇る実力の中核を成すものです。だからこそ、918 スパイダーや 919 ハイブリッドを良くご覧になって下さい」(ミッション E プロジェクト責任者シュテファン・ヴェックバッハ)

ミッション E が新しいスポーツカーであることに、疑いの余地はない。そして実際、全く新しい駆動システムが搭載されているにもかかわらず、どこからどう見てもポルシェである。モータースポーツで培った経験が生かされているのは間違いない。2015 年のル・マンを制した 919 ハイブリッドが搭載するシステムに類似した 2 基の永久磁石シンクロナス・モーター(PSM)を備え、ブレーキングの際には効率的に運動エネルギーを回生する。二基のモーターはそれぞれフロントとリア・アクスルを駆動し、システムとしての最高出力は驚きの 600 PS を誇る。公表されているミッション E の 0 – 100 km 加速は 3.5 秒、0 – 200 km 加速は 12 秒という韋駄天ぶりだ。PSM は近未来のターボチャージャーとも言うべきデバイスだ。PSM は極めて効率的かつ均一、そして持続的に電気エネルギーを駆動力へと変換し、その際の発熱も現実的なレベルに抑えられている。そう、高出力の代償として冷却に苦心する必要はもうないのである。E 駆動のポルシェは、歴代のモデルと同様、サーキット走行を前提に開発されているのは言うまでもない。

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600 PS のパワーを秘めたポルシェの 4 座 E スポーツ。0 – 100 km 加速は 3.5 秒以内

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フェンダーの一部をスライドさせると充電用プラグコネクターが現れる

ミッション:ドライビングプレジャー
「縦方向のダイナミクスは言わずと知れていますが、真のスポーツカーがその実力を発揮するのはコーナーです」(シュテファン・ヴェックバッハ)

ストレートを高速で直進してゆく性能も大事だが、ポルシェが真の実力を発揮するのはやはりコーナーだ。ミッションE はその点においても妥協はなく、車重が前後アクスルに均一に配分されているため見事なバランスが示し、フロアの高さにマウントされた蓄電池により重心も低く抑えられている。その結果、ポルシェ・トルク・ベクトリングが組み込まれた 4WD システムは駆動力とダイナミクスを高次元で融合し、最高水準のタイヤグリップを実現している。さらに現行 911 GT3 やターボと同様のリア・アクスル・ステアリングの採用により、スピーディかつ精確なライントレースを実現。911 のそれを模範としたアクティブ・サスペンションの応用により、高いスポーツ性と優れた快適性の両立にも成功している。ちなみにこのミッション E、ニュルブルクリンク北コースで 8 分フラットのラップ タイムを記録しているという。

ミッション:日常利便性
「15 分という充電時間は許容範囲内でしょう。800V 仕様の電池の採用により、素早い充電が実現できました」(シュテファン・ヴェックバッハ)

E モビリティにおいて最も注目される要件は、充電時間と航続距離だろう。ミッション E は、800V という従来の約 2 倍に相当する電圧を設定することにより新しい領域に踏み込んだ。さらに、断面積が小さく抵抗の少ない軽量銅線を用いて大量のエネルギーを一気に伝動する仕組みを採用することにより、充電時間の短縮と軽量化を同時に達成している。ミッション E に搭載されたリチウムイオン電池は、一回のフル充電で 500 km の航続距離が可能で、15分 間程度の充電時間、つまりちょっとコーヒー・ブレイクをしている間に 400 km に相当する充電ができるというから驚きだ。

ポルシェはこの高速充電を “ターボチャージング” と呼んでおり、ドイツ国内ではすでに 800V で充電可能な充電スタンドがアウトバーン沿いに設置され始めている。もちろんミッション E は当然ながら従来型 400V 仕様のチャージ・ステーションに接続することもでき、さらに自宅ガレージでのインダクティブ充電にも対応している。ちなみに、インダクティブ充電とは、床に埋め込まれたコイルの上に車輌を駐車するだけで、ケーブル接続を行うことなくアンダーフロアにマウントされた電池を充電できる未来型のシステムの先駆けである。

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新たなコンセプト・スタディ “ミッション E” には 2 基の電気モーター(1、2)が搭載されている。 800V 仕様の電池の採用により、充電時間の短縮とさらなる航続距離を実現。アンダーフロアにリチウムイオン電池(3)をマウントすることによって重量配分を最適化。インダクティブ充電も可能だ。 プラグコネクターはフロント・フェンダー左(4)に配置されている

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リアエンドに伸びる斬新なテールライト・ストリップにくっきり映し出されたポルシェのロゴ

ミッション:デザイン
「ミッション E を、911 のように特別なステイタスを得られるようなデザインに仕上げていくことは、デザイナーにとって非常にやりがいのある夢のようなプロジェクトです」(ポルシェのデザイン責任者ミヒャエル・マウアー)

新しい EV に求められたアピアランスは、斬新でありながらも馴染みのあるデザインだった。全体のフォルムとボディ細部のディテールは、見る者に “これぞまさにポルシェである” と感じさせる強いメッセージを放たなければならない。ツッフェンハウゼン謹製の歴代スポーツカーが受け継いできた特徴を、全て兼ね備えていなければならないのである。

ミッション E のエクステリアは、デザインとエアロダイナミクスの美しい融合体だ。その革新性を象徴するフロント・マスクからリアへと流れるラインは研ぎ澄まされ、要所に仕込まれた特徴的なエア・インテーク/アウトレットが高性能を予感させる。もちろんこれは単なるデザイン上のアクセントではない。高出力の E スポーツは車輌、バッテリー、電気系統を冷却する必要があり、空力的にも重要な役割を果たすエア・ダクトが穿たれる。フロントバンパー左右のエア・ダクトから導かれた気流はタイヤ付近の乱流を抑え、サイドのエア・アウトレットから適量を排出することによってホイールハウジング内に発生する過圧を低減し、車体に作用する揚力を抑える。“形態は機能に従う” というポルシェの理念が、しっかりと継承されているのだ。

ミッション E のエクステリアにはポルシェ伝統のディテールが散りばめられている。フラットでプレーンなフロント・マスクは 918 スパイダーを連想させるし、力強く盛り上がったフロント・フェンダーをはじめ、極めてフラットにデザインされたスカイラインやサイドウィンドウのレイアウトには 911 の DNA を感じさせる。さらにフロント・フードからルーフにかけて連続するワイドなプレスラインは現行の 911 GT3 RS にも通じるスポーティなアクセントを加えたデザインだ。

ミッション E のエクステリアには、自らの伝統に範を取るエッセンスと共に新しいデザイン言語も採り入れられている。エア・インテークの中に浮かび上がる 4 灯式のマトリックス LED ヘッドライトはその象徴だろう。中央部にはドライブアシスト・システムを支えるセンサーを内蔵し、センサーフレームはインジケーターライトとして機能する。カメラを埋め込むことによりサイド・ミラーを省いたサイドラインや、リバーススウィング・ドアのハンドルも新しいディテールだ。力強く盛り上がる左右のリア・フェンダーの間をつなぐ鮮烈なガーニッシュ。その下のガラスパネルに光り輝くポルシェのロゴは伝統と革新が融合したディテールと言えよう。

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リバーススウィング・ドアを開くと、ハイテク・インテリアのパノラマが広がる

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超軽量セパレートシートが乗員をしっかりとサポート

ミッション:コックピット
「ミッション E のインストルメント・パネルをご覧いただけば、ポルシェのインフォテイメントに対する考え方をご理解いただけるでしょう」(ミヒャエル・マウアー)

ミッション E のインターフェイスはいたってシンプルな設えだが、もちろんここにも新技術がふんだんに盛り込まれている。ドライバーに合わせて調節されるメータパネル表示がその一例で、OLED (有機発光ダイオード)技術が採用された独立型フラットディスプレイに仮想表示される 5 つのメータパネルは、ドライバーの着座位置に合わせて視差効果を利用しながら表示を自動調整。アイ・トラッキング・システムの採用により、ドライバーがどのメーターに視線を向けているかセンサーがしっかりと把握し続ける。つまり必要な情報を読み取る上で、ステアリングホイールはもはや障害とならないのである。ステアリングホイール上のボタンを使えば各種機能を楽々と操作できるし、顔認識技術によりドライバーの機嫌を判断しながらエモーティコンをメータパネルに表示。その時選択中のドライビング・モードと共にシステムに保存される。

911 を彷彿とさせるダッシュボードには、手の動きに反応して作動するワイドなホログラムディスプレイが搭載されている。ドライバーや助手席のパッセンジャーはダッシュボードに直接触れることなく、直感的な動きでラジオやナビゲーション、エアコン、電話、アプリといった機能の操作が可能で、さらにポルシェ・カーコネクトを利用することによって車外からの遠隔操作をも実現している。“OTA(Over The Air)” やリモートサービスを使って車輌の機能範囲を拡大させることができるのだ。また、通信機能を持つスマートフォンやタブレットを接続して車内のハイスピード・データモジュールを使えば、インフォテイメント・システムをはじめ、エンジンやシャシー設定にも新たな機能を追加することができる仕組みとなっている。

素晴らしい未来への展望。これほど心酔わせるミッションは他にないだろう。

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アイキャッチャー:アイ・トラッキング・システムとジェスチャー・コントロールを採用した操作コンセプト

Peter Weidenhammer